ブライドルレザー開発秘話

創業120年 黒川鞄のランドセルには実にさまざまなリクエストが寄せされます。皮革好きなご父兄からは、ヌメ革ランドセルを製作して欲しいとのご要望がよくあります。かつて、製作していたのですが、子ども用のランドセルにした場合、悩ましい問題も発生します。

それは日常のメンテナンスが必要だということです。それによってエイジング(経年変化)を楽しむのも皮革の醍醐味です。大人の鞄ならそれほど問題もないのです。

しかし、小さな子どもに日常の手入れは大きな負担になります。自然に放置すると、雨などが染み込み、ひび割れ、バリバリの状態になります。カビが発生することもあります。

皮革製品に詳しいご父兄の眼鏡に適うようなランドセルを作ることはできないか?
試行錯誤の末、ヌメ革の王道をあゆむ英国ブライドルレザーを採用することにしました。英国紳士を髣髴とさせるブライドルレザーは、質実剛健な皮革です。

馬具(Bridle)のために生まれた強靭な皮革、ブライドルレザー。

馬具(Bridle)のために生まれた強靭な皮革、ブライドルレザー。

ブライドル(Bridle)とは、「くつわ」や「おもがい」、「たづな」など、乗馬の際、馬の頭部につける馬具を意味します。この馬具をつくるために製作された強靭な皮革をブライドルレザー(bridle leather)と呼びます。
つまり、ブライドルレザーは騎手と馬の意思伝達や馬を制御、抑制する命綱ともいえる道具、ブライドルをつくるために生み出され、永い間継承されてきた伝統ある皮革なのです。
英国の名門、セドウィック社製。

英国の名門、セドウィック社製。

黒川鞄工房では、ブライドルレザーの中でも英国名門セドウィク社(J&E Sedgwick)の高級ブライドルを採用しました。
同社のブライドルレザーは、フルグレイン カウハイド(成牛の表皮)を、時間をかけて天然植物エキスを用いてなめしており、染色を施した後、独自のワックスをたっぷりしみこませた贅沢な革です。
最高のブライドルレザーの証、Bloom(ブルーム)。

最高のブライドルレザーの証、Bloom(ブルーム)。

通常、いわゆるヌメ革は、植物由来のタンニンでなめして作られた牛革のことを指しますが、ブライドルレザーは、そこに特別にブレンドされたオイルやワックスを丹念に塗りこむことにより、つややかに磨き上げられた強靭な皮革として完成します。
革の表面に粉状のものが白く浮き出ているのがブライドルレザーの特徴です。これは、Bloom(ブルーム)と言って、高品質のブライドルレザーに丹念に塗り込まれたワックスが銀面(革の表面)に浮き出たものです。これはワックスが革の深部にまで染み込んでいる証です。
年月を経るごとに味わいが深くなり、独特の光沢と艶を増していくのがブライドルレザーの特徴です。
熟練の職人だけに許された製作技術。

熟練の職人だけに許された製作技術。

しかし、ブライドルレザーには制作上の大きな問題があります。その強靭さゆえ、鞄のデザインに奔放さを許しません。職人には、革の持つ主張を活かしながら、導くように製作する卓越した技量が求められます。生半可な技術では、革包丁は刃こぼれし、針は折れ、糸さえ通りません。製作には熟練職人による匠の技が必要なのです。
細部まで、高級感ある佇まい。

細部まで、高級感ある佇まい。

ようやく完成したブライドルレザーのランドセルを、創業120年 黒川鞄工房ランドセルのプレミアム・エディションに加えました。
色は黒、茶と紺の3色。金具の色は高級感のあるアンティークなブロンズを採用しています。形状は、総コードバンとおなじクラシックなスタイルです。
「切り目」を磨き上げた、堅牢な仕上げ。

「切り目」を磨き上げた、堅牢な仕上げ。

冠(フタの部分)は、皮革の剛性を生かして、切りっぱなしにし、その断面を丁寧な職人技で磨きをかけています。これは高級な紳士鞄にある技法です。
市販の類似品は、断面に着色の塗料を用いて、その断面をふさぎます。黒川鞄工房ランドセルは本格的な「切り目」の磨き技法による堅牢な仕上げなので、その断面からも本物の表情を楽しむことができます。
完成、至高のヌメ牛革、ブライドルレザー・ランドセル。

完成、至高のヌメ牛革、ブライドルレザー・ランドセル。

ここに工房系の頂点をきわめる匠の技(オールコードバン)、長冠(ロング)コードバンと至高のヌメ牛革であるブライドルレザー・ランドセルのコレクションが完成しました。
120年間、お客様の声に耳を傾け続けてきた黒川鞄工房が自信を持ってお届けするブライドルレザーの高級ランドセルは、お子様はもちろん、ご父兄様にも喜んでいただける逸品です。
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